米ぬか酵素風呂サロン RE.treatオーナー美穂さんへインタビュー

こんにちは。

今日は乳がんの治療経験から酵素風呂の運営を始めた、RE.treatのオーナーである美穂さんにお話を伺いました。

乳がんの治療中に酵素風呂の開業を決めたきっかけや、お店に込められた思いについて詳しく伝えます。

ぜひ最後までお読みください。

プロフィール

静岡県在住、お酒や甘いものが大好き!体調を崩すことがほとんどないぐらい、元気いっぱいな癌サバイバーです。

乳がんの告知を受けたのは47歳でした。2021年3月に自分で胸のしこりに気がつきましたが、痛みがなかったため自治体の検診期間がくるまで放置。2021年10月に乳がん検診を受け、癌の可能性が高いと知りました。静岡県立静岡がんセンターで再度詳しい検査をした後、告知を受けました。

乳がんのサブタイプはHARE2陽性、ステージはⅠとⅡの間ぐらい。治療が始まったのは2022年2月です。片方の乳房全摘出の手術を受けた後、抗がん剤治療と抗体療法を行いました。全ての治療を終えたのは2023年7月頃、米ぬか酵素風呂サロンRE.treatを開業したのは2023年11月です。現在はRE.treatを運営しながら、半年に一度、検査を受けています。

自分が乳がんだとわかったとき、どのようなことを思いましたか?

自分でも不思議なのですが、乳がんの告知を受けたときの心境は覚えていません。きっとショックだったとは思うのですが・・・・・・。ただ、とにかく抗がん剤治療をしたくないと思ったことは覚えています。抗がん剤といえば脱毛や強い吐き気というイメージがあって、とても受け入れられないと思って。

主治医からは術前に抗がん剤治療をしたうえで、乳房の部分摘出手術を勧められましたが、私は抗がん剤治療をしたくないという一心でした。

「全摘でいいから手術だけでなんとかしてほしい」と主治医に強くお願いしたのですが

「手術の予約はいっぱいですぐにはできないから、それまで治療せずに放っておくのか」と先生に言われて少し迷っていました。

その矢先に偶然手術のキャンセルがあり、空きが出たと病院から連絡が入ったんです!本当に近い日程だったので少し戸惑いましたが、「このチャンスを逃したら次はいつになるかわからない」と思って手術を受けることにしました。

手術が終わったら、私はもう癌が治ったという気持ち満々で。術後のリハビリもとても張り切って行ったことを覚えています。でも現実はそんなに甘くなかったです。手術の結果、私の癌は悪性度がとても高いことがわかり、再発防止のために抗がん剤治療を受けることになりました。

抗がん剤治療は、やはり辛いものでしたか?

はい、とても辛かったです。体のしんどさはもちろんですが、気持ちの面で辛い日々が続きました。とくに脱毛により見た目が大きく変化したことがショックでした。人に会いたくないと思うようになり、完全にふさぎこんでいましたね。親しい友人が私を外に連れ出そうと気遣って声をかけてくれていたのですが、初めのうちは断っていました。

どうして酵素風呂に行く気持ちになったのですか?

断った友人からの誘いには、酵素風呂が含まれていました。誘いを断ったものの、どんな酵素風呂屋さんなのか気になり、実際に調べてみたのです。するとそのお店は入浴スペースが個別になっていることがわかりました。調べるだけでは不安だったので、友人にも何度も確認しましたが、結果は同じでした。

「これなら自分の頭を見られずに入浴できるかもしれない」そう思ったら、酵素風呂に行ってみようと思えたのです。もちろん手ぶらでは行かず、入浴中に被るためのキャップも持参しましたが、それは私にとって大きな一歩でした。

初めて酵素風呂に行ったときの感想を教えてください。

とても感動しました!あのときの感動は今でも忘れることができません。酵素風呂に入る前は、抗がん剤の副反応もありよく眠れなかったのですが、それが一変しました。酵素風呂に入った日から、突然ぐっすりと眠ることができるようになったのです。それから酵素風呂信者のようになり、定期的に通うようになりました。

酵素風呂に通うようになってから、少しずつ友人と外に出かける回数も増えていきました。抗がん剤治療で後ろ向きになっていた気持ちが、少しずつ前を向いてきた実感がありました。よく眠れるようになったことで体が少し楽になったのはもちろんですが、精神的な辛さを緩和できたのがとても大きかったと思います。

ご自身で酵素風呂を始めたいと思ったのはいつ頃ですか?

酵素風呂に通い始めてすぐに「私もやりたい!」と思いました。自分でやり始めたら、毎日自分も入浴できると思ったのもありますが、「同じように抗がん剤で苦しんでる人に届けたい!」と強く思いました。

やると決めた後の私は、自分でも驚くぐらいの行動力を発揮しました。あんなに家にふさぎこんでいたのがまるで嘘のよう。当時ゲッターズ飯田さんにもはまっていたので、本に書いてあった通りに周囲の人たちに「酵素風呂を始めたい!」と言いながら、通っていた酵素風呂屋さんに弟子入りしました。

私の性格上、開店日を先に決めないとずるずると先延ばしにする恐れがあったので、先にオープンする日を決めました。あまり余裕のない日程で設定をしてしまったので、建築関係やその他の関係者の方々には無理をいってしまいましたが、皆さん快く協力してくださいました。そのおかげで、治療後数か月でお店をオープンすることができたのです。

初めての挑戦で、不安になることはありませんでしたか?

当時は全く不安に思わなかったです。酵素風呂を始めたい一心で、あまり深く考えていなかったというのもありますが(笑)

でもそのくらい夢中になれたおかげで、その後の抗がん剤治療や抗体療法については悩むことなく乗り切れました。病院での待ち時間も、酵素風呂の立ち上げのために資料を読んでいたらあっという間でしたね。他にもお店を開くために必要な片付けなどは、体力仕事な面もありましたが、自然と頑張ることができました。それまではずっと部屋にこもっていたのに・・・・・・本当に不思議。

当時母には反対されていました。「この歳から借金をしてまで始める必要があるのか」と。
でもそんな中、兄が背中を押してくれました。「最悪、家族が入れるんだからいいじゃないか?」と。

その後、兄にはたくさん相談に乗ってもらいました。兄妹の仲が深まったのではないかと感じるほどです。お金周りのことを全く計算していなかった私は、兄から質問されて初めて考えることも多く、兄からの質問に答えるために、少しずつお金周りのことも考えられるようになっていきました。本当に兄には感謝しています。

お店づくりでこだわったポイントはありますか?

名前にも想いを込めてあります。「心も身体も癒される非日常空間」をコンセプトにRE.treat(リトリート)という名前にしました。リトリートには、日常から離れて自分と向き合う時間を作ることや、リラックスして疲れを癒す時間という意味があります。私のサロンに来てくださるお客様が、身体だけでなく心もリフレッシュできるような場所にしたいと思っています。

また、癌に限らず、病気と闘っている方も足を運びやすいお店にしたいと考えていたので、動線にこだわりました。脱衣所からお風呂、その後のシャワーから脱衣所までを誰にも会わずに移動ができるようにしました。その分少し脱衣所がコンパクトになってしまいましたが、その動線だけは譲れませんでした。脱毛中の私が酵素風呂に通っていた時に一番気にしていたところだったので、自分のお店には絶対に取り入れたいと考えていました。

この動線は病気をしていないお客様にも好評で、こだわってよかったと感じています。

酵素風呂を始めた今は、どんな気持ちですか?

毎日がとても充実しています。毎日一人でもお客様が来てくれることが奇跡だなと感じます。その気持ちはオープン当初から今でもずっと変わらず、足を運んでくださるお客様やに感謝の気持ちでいっぱいです。

本来なら私がお客様を癒す立場のはずなのに、私の方がお客様からパワーをもらっています。肉体的にはしんどい仕事なので「何歳までこの仕事ができるのだろう・・・・・・」と不安になることもあるのですが、お客様からいただく言葉でそんな気持ちは吹き飛びます。不安な気持ちよりも、幸せな気持ちの方が大きいのです。

SNSを通じて、初めて乳がん治療中の方が来てくれた時は「私の想いが届いたんだ・・・・・・!」と感動しました。あの時は、お客様の前で少し涙してしまいましたね。他にもお客様が「心がスッキリした」と言ってくださったり、入浴中に涙を流されたりするときも、私も一緒になって泣いてしまいます。すぐ泣きます(笑)

SNSは苦手だったのですが、私の想いが多くの人に届くようにこれからも続けていきたいと思います。

今後の目標を教えてください。

これからも、多くの人に私のお店や酵素風呂の良さを知ってもらいたいです。 足を運ぶかどうかは関係なく、暇な時や、しんどい時は「そういえば、酵素風呂があったな」他にも辛い時や、家に引きこもっているようなも、少し気持ちを外に向けるきっかけになれたら嬉しいです。

酵素風呂の魅力はまだ知られていないと感じています。酵素風呂に入ることで、基礎体温が上がり、免疫力アップが期待できるので、健康な人にとっても病気の予防に繋がると考えていますだから身体の状態に関係なく、広く多くの人に酵素風呂の良さを知ってもらいたいです。

最後に、現在闘病中の方に声をかけるとしたら、何を伝えたいですか?

無理に前を向こうとしなくてもいいから、少しだけ外に目を向けてほしいです。闘病中は、どうしてもネガティブな情報を検索してしまい、前を向けない時間が多くなってしまうと思います。私もそうだったので、その気持ちもよくわかります。

でも私のように、治療を終えて楽しく生活している人もいるので、そういう人に少し目を向けてほしいです。どうせ同じ時間スマホを見ているなら、少しでも気持ちが明るくなる方を選んでほしいな。一歩外に出てみるだけでもいい。どんなことでもいいから、少しでも気分転換になることをしてほしいです。

本日はお時間をいただき、ありがとうございました!

取材中、これまで支えてくれた人への感謝の気持ちが溢れて、涙を流している美穂さんがとても幸せそうに見えました。 想いを伝えてきたからこそ、今の生活を楽しんでいるのだと思います。

美穂さんの経験が、同じように闘病をしている方の一つの希望の光になったら嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。