若い人でも乳がんになる人がいるとは聞くけれど、
「乳がん検診はいつから受けるべき・・・?」
「乳がん検診は、どのようなことをするの?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
結論は、
“国から推奨されている乳がん検診の開始は40歳からだが、
最終的に開始時期を決めるのは自分自身“
ということです。
こちらの記事では、乳がん検診の検査方法についてや、
乳がん検診を受け始める時期を決めるときの目安について説明していきます。
参考にしていただければ幸いです。
乳がんとは
乳がんとは、乳腺の組織に発生する癌です。
主な症状は下記のようなものがあり、自分で気が付く方も多いです。
【乳がんの主な症状】
・乳房にできるしこり
・乳房にできるくぼみ
・乳房の形が左右非対称になる
・乳頭から分泌物が出る
乳がんは比較的治りやすい癌と言われており、
初期の段階で見つけ、適切な治療を受ければ、
乳がんだけが原因で亡くなることは少ないです。
乳がん検診での発見率
乳がんを検診で発見した人は全体の28%になります。
自分で発見した人が全体の51%を占めますが、検診で発覚した人と、自分で見つけた人では
病気の進行度合いが大きく異なります。
下記のグラフを参照してください。
乳がんの症状に自分で気が付くのは病気の状態が少し進んでしまってからのことが多く、
検診では自覚症状がない状態(初期の状態)で見つけられることが多いのが特徴です。
乳がんになりやすい年齢
日本では、30代から乳がんになる人が増えていきます。
20代後半と30代前半の発生率を比べると、30代前半は20代後半の数値の3倍以上の数値になります。
その数値は年齢が上がるごとに徐々に増えていき、最も発生率が高いのは40代後半から50代前半までの年齢です。
40代から発生率がかなり高くなるので、日本では
乳がん検診は40歳から2年に一度の頻度で推奨されています。
乳がん検診をいつから受け始めるか
国が推奨しているのは、40歳から2年に一度ですが、
遺伝性乳癌にかかる可能性があると考えられる場合は、
もう少し若い年齢から乳がん検診を受け始める場合もあります。
(遺伝性乳がんは乳がん全体の5%程度)
乳がんの遺伝子を持っているかどうかは、BRCA1/2遺伝子検査を受けなければわかりません。
保険適応で遺伝子検査を受けることができる場合もありますが、
癌を患っていない人は、現状(2024年7月時点)では保険適応にはなりません。
自費で検査いただくことはできますが、費用はおおよそ15万~30万円程度かかります。
遺伝子検査を受けるのもいいと思いますが、遺伝子検査が陰性でも乳がんになる人がいるのが現実です。
私は乳がんになってから遺伝子検査を受けましたが、結果は陰性でした。
まずは、ご自身の家系に癌を患ったことがある人がいるかを確認してください。
自分に近い親族であればあるほど、可能性は高くなります。
もし家系に癌を患った人がいる場合は、下記の対策が推奨されています。
18歳以上:月に一度程度セルフチェックを行う。
25歳以上:1年に1回、医療機関での乳がん検診を受診する。
正解がないので難しいですが、ご自身が安心できるタイミングを考えて決めてください。
検診の種類
検診の種類には下記の2種類あります。
①対策型検診
【特徴】
・自治体から専用の受診票が郵送で届く。
・公的資金(税金)を使用するため、自己負担する費用が少ない。
②任意型検診
【特徴】
・人間ドックなど、医療機関で任意に受けるもの。
・費用は全額自己負担。
乳がんに関しては40歳から2年に一度、自治体から受診票が届くので、
40歳から2年に一度は自己負担が少なく検診を受けることが可能です。
検診方法
乳がんの検診方法には主に下記の2種類があります。
マンモグラフィ
専用の機械で乳房をはさみ、平らにしながらレントゲン撮影をする検査です。
【目的】
乳がんの位置や広がりを調べるために行います。
【特徴】
・視診や触診、乳腺エコーで発見しにくい小さな症状も発見しやすい。
・高濃度乳房の方は画像では、発見しにくい場合がある。
(高濃度乳腺とは、年齢が若い方に多い、乳腺の密度が高い乳房です。
マンモグラフィでは癌は白く写りますが、乳腺も白く写るので判別が難しくなります。)
・検査に痛みが伴う。
乳腺エコー(乳房超音波検査)
乳房の表面に超音波をあてて、超音波の反射の様子を画像上に写し出す検査です。
【目的】
しこりの大きさや、わきの下などの乳房周辺のリンパ節への転移がないかを確認するために行われます。
【特徴】
・マンモグラフィだとわかりにくい、高濃度乳房の方にも適している。
(乳腺エコーでは、癌は黒く写りますが、乳腺は白く写るため、判別がしやすいです。)
・検査による痛みはない。
・放射線による被ばくがないため、妊娠中でも検査可能。
マンモグラフィと乳房エコーはどちらを行えばよいか
マンモグラフィ検査と乳房エコー検査(超音波検査)はどちらも受けることを推奨します。
それは先述した通り、検査する範囲や目的、画像の写り方が異なるからです。
もしどちらか一方だけを受ける場合は、
40歳未満は乳房エコー検査を、
40歳以上の場合はマンモグラフィ検査をお勧めします。
その理由は、年齢が若い方の方が高濃度乳房である可能性が高く、
マンモグラフィ検査だと癌の判別が難しくなる恐れがあるためです。
セルフチェックについて
セルフチェックは家計に癌を患ったことがある人がいても、いなくても、皆さんにお勧めします。
月に一度行ってください。
私もそうですが、私が知り合った乳がん患者さんのほとんどは、自分でしこりや異変に気が付いて
乳がんが発覚しています。
セルフチェックの方法
❶乳房の形を確認する
鏡の前に立ち両腕の力を抜いた状態と、両腕を上げた状態で、
それぞれ下記のことを確認してください。
・左右の乳房に形や大きさの変化がないか。
・乳房に皮膚のへこみや、ひきつれを起している箇所はないか。
・乳首がへこんだり、ただれてきていないか。
❷乳房にしこりがないか確認する
左右両方とも下記の手順で確認してください。
《左乳房の確認時を想定》
・左肩の下に、枕やタオルなど(高さが出過ぎないもの)を入れ、
仰向けに寝てください。(少しだけ胸が反るようなイメージです。)
・左手は頭の下に置き、右手の指で左乳房の内側を触ってしこりがないか確認してください。
・右手を左乳房の乳首よりも内側に置き、
そこから胸の中央に向かって指をすべらせて、
しこりがないか確認してください。
・同じ姿勢のまま、右手を左乳房の乳首よりも外側に置き、
左乳房の中央に向かって指をすべらせて、しこりがないか確認してください。
❸わきの下のリンパ節にしこりがないか確認する
左右片方ずつ確認してください。
《左乳房の確認を想定》
上半身を起こし、右手を左のわきの下へ入れて、
指でしこりがないか確認してください。
この時に、左腕は下へ下ろしておいてください。
(脇に指をはさむイメージです。)
❹乳首から異常な分泌物が出ないか確認する
左右の乳首を軽くつまんで、血液の混じった分泌物が出ないか確認してください。
まとめ
40歳未満の方が乳がん検診を受け始めるタイミングはは、ご自身の家系を振りかえったうえで、
自分がどのように体を管理していきたいかによって決めていきます。
40歳以降は2年に一度乳がん検診を受診してください。
また、誰でも実践可能なセルフチェックは若いうちから月に一度行うことをお勧めします。
私は乳がんが発覚するまで、セルフチェックや乳がん検診を受けたことがなかったので、
少し後悔しています。
乳がんは初期に発覚すれば、完治できる可能性が高まりますので、
すぐに変化に気が付けるよう、皆さんには少しでいいので自分の胸と向き合う時間を設けていただきたいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。