乳がん治療からもらったキャンサーギフト

初めて「キャンサーギフト」という言葉を耳にしたとき

私が初めて「キャンサーギフト」という言葉を耳にしたのは、
がんセンターで乳がん経験者さんの懇親会に参加した時です。
ピュアサポーターの方がキャンサーギフトの話をしてくださいました。

「癌になったことは悪いことばかりじゃない」

頭ではわかっていたつもりになっていましたが、
当時の私にはまだギフトという風には到底受け止められませんでした。

意外と友人がSNSで楽しそうな日常を上げているのを見るのは辛くありませんでした。

ただ、夫が趣味のサウナに週に1度行くだけで

元気に温泉施設に行けていいな。

と嫉妬したりしていました。
元気に出社する背中を見送るときにも

元気に出社できていいな。

と思ったり。(全然仕事が好きなわけじゃないくせに笑)

そんな自分のことを、なんて器が狭い人間なんだ。と散々思いました。
あんなにサポートしてくれている人に対してそんなこと思うなんて最低だなと。

だから癌からのギフトって一体なに?
そんな風に思っていました。

思い返せばラッキーの連続

当時はあまり思えなかったのですが、
今思えば今根治を目指して癌治療で来ていること自体がとてもラッキーなことなのです。

他にも、

これまで全くと言っていいほど自分の胸に頓着がなかった私が、
自分で胸の異変に気が付き、シコリを見つけられたことがラッキー。

1件目の病院の先生が感じ悪すぎて、
もう1件別のクリニックに行ってみようと思えたこともラッキー。

たまたまがん保険に入っていたこともラッキー。

数か月前に再婚していたこともラッキー。

実家が近かったこともラッキー。

支えてくれる友達がいてくれたこともラッキー。

私はラッキーウーマンだったのです。(笑)

メンタルが強化され最強の自分到来

シコリを見つけた日から、幾度となく崖から突き落とされる気分を味わってきました。

それに抗がん剤治療を受ける中で、心身ともにどん底の気分を味わいました。

そうしていくうちに、

乳がんになる以前に味わってきた苦痛は本当に大したことじゃなかったんだ。

今後も恐らく大切な人が亡くなったりすること以外で
これ以上大変なことにはそうそう巡り合わないだろう。
大抵のことは乗り切れるメンタルを私は身に着けた!

自然とそう思えてきました。

これまでは離婚や失恋、お局さんからの嫌がらせで泣いたり、
書類提出の遅い営業さんにイライラしたりしていました。

でも今となってはそんなこと本当に大したことないことに思えます。
(ストレスの感じ方は人それぞれなので、やばい時は全力で逃げてください。)

「死ぬこと以外はかすり傷」ってこのことだったのかと思いました。

一番良かったと思うこと

それは視野が広がったことです。

これまで私は自分と同じ健康な人にしか目を向けてこなかったんだなと思いました。

それが変わったなと思った出来事がいくつかありました。

飲食店で抗がん剤治療をしているだろうなと思う人を何人も見つけられるようになりました。
自分も髪が無くなったり、帽子で出歩くことが増えたので
自然と似たような人が目につくようになったのです。

抗がん剤治療を頑張っている人って身近にこんなにたくさんいたんだ。

今までどうして気が付かなかったんだろう。と不思議に思うほどでした。

他にも今までだったら車を運転しているときに横断歩道を
びっくりするぐらいゆっくり歩いて渡る若い人を見ると少しイライラしていました。
それが先日、

この人もしかしてリハビリ中なのかもしれない。

そうな風に思えたのです。
私も治療中や入院でびっくりするほど体力や筋力が無くなり、
よぼよぼとしか歩くことしかできなくなった時期がありとてもしんどかったです。

その時の経験のおかげで、自然と心が広くなった気がして嬉しかったです。

あとシンプルに、元気にご飯を美味しく食べられることが
いかに幸せなことだったのかを知ることができました。

今まで当たり前だと思っていたことは、実は本当に幸せなことだったのだと。

これがキャンサーギフトか。今はそんな風に感じます。

きっとそれぞれが受け取るキャンサーギフトも異なると思います。

みなさんの受け取ったキャンサーギフトも教えてもらえたら嬉しいです♪