こんにちは。

乳がんの術後にどのような下着をつけたらいいのか、
不安に思っていませんか?

「今まで通りブラジャーは着用できるの?」

「全摘した後はパッドが必要?」

「どんなことにに気を付けたらいいかわからない」

そのような疑問を抱えている人は多いと思います。

そもそも手術自体が不安で、
下着のことまで考えられない人もいるかもしれません。
私も術前はそわそわしていて、このような記事を書こうとは
思いもしませんでした。
今日は同じような不安を抱えている人の力になれたらと思い、この記事を書いています。

術後の下着着用には目的があり、それは傷の経過によって異なります。
そのため、着用できる下着も傷の経過に合わせる必要があります。

傷が治るまでの期間(術後1か月程度)
目的:傷の保護、保温
着用できる下着:圧迫がかからない、ゆったりした下着

傷が治った後(術後1か月以降)
目的:体の左右のバランスを整える
着用できる下着:術前に使用していた下着、重みのあるパッド

上記の目的をふまえたうえで、正しい下着の選び方を詳しく解説していきます。
参考にしてもらえたら嬉しいです。

下着やパッドを使用する目的

術後、とくに全摘をされた方は見た目が一番気になるかもしれません。
もちろん見た目を整えることも大切なことですが、
他にも大切な目的がありますので解説します。

傷の保護

乳房を切除することによって、表面上の皮膚の傷だけではなく、
皮膚の下にも傷ができます。
その傷を保護することが大切です。
下着やパッドは、日常生活で胸に衝撃がかかるときに
(とくに物を抱えたり、子供やペットを抱いたりする時)、
胸を保護するクッションの役割を果たしてくれます。

手術した部位の保温

手術により皮下脂肪が切除されてしまうので、寒さを感じやすくなったり、
寒さにより痛みに敏感になることがあります。
そのようなことを防ぐためにも、下着やパッドで保温することが大切です。

左右のバランスを整える

これが最も重要です。
切除することで、乳房の重さに左右差が生まれます。
左右差が生まれると、自分では意識していなくても
手術した方の胸をかばう姿勢をとってしまっていたり、
まっすぐに歩いているつもりでも、
手術を受けていない方に寄って行ってしまったりすることがあります。
そのようなことが続くと、筋肉の使い方のバランスも崩れてしまい、
肩こり、腰痛、背骨が曲がる、頭痛などの原因になります。
術後傷が治ってからは、しっかりと重みのあるパッドを使用することが必要です。

下着の選び方

下着の選び方も、傷の経過によって異なります。
また、放射線治療を受ける方も注意が必要になります。
それぞれの期間や治療に適した下着を着用しましょう。

【術後~1週間】

傷の保護が第一優先なので、下記のような下着を選びましょう。

ゴムやワイヤーなど、圧迫するものがない下着
(圧迫感の有無は、体に圧迫痕が残らないことを目安にしてください。)
・綿などの肌あたりがやわらかく、汗の吸収が良い素材の下着
・パッドの使用は避ける(胸のふくらみが気になる場合は、
ガーゼやハンカチ、タオルなどを挟む)

【術後1週間~1か月】

皮膚の傷は治っていることが多いですが、痛みや感覚障害がある場合が多い時期です。
下着やパッドが触れると違和感を感じることがありますので、
下記のような下着を選びましょう。

ゴムやワイヤーなど、圧迫するものがない下着
(圧迫感の有無は、体に圧迫痕が残らないことを目安にしてください。)
・綿などの皮膚に優しい素材の下着
軽量タイプのパッドの使用可(肌にあたって、不快感がないか確認してください。)

【術後1か月以降】

傷の痛みや感覚障害が無くなってくる時期です。
術前に使用していたような下着の着用が可能です。

・術前に使用していた下着
重みのあるパッドジェルやシリコン製のものを推奨します)

左右のバランスをとるために、重みのあるパッドを使用することが重要です。
乳がん用の下着やパッドも販売していますので、検討してみてください。

【放射線治療を受ける方】

放射線治療を受ける方は、放射線の影響で皮膚が日焼けをしたような状態になります。
人によっては皮膚がただれてしまうこともあるようです。
そのため1か月以降も下記のような下着を選びましょう。

ゴムやワイヤーなど、圧迫するものがない下着
(圧迫感の有無は、体に圧迫痕が残らないことを目安にしてください。)
・綿などの皮膚に優しい素材の下着(縫い目がないものがおすすめ)
・着用する際に、治療部位をこすらないように注意する。
(上からかぶって着るのではなく、足から通して着るようにした方が良い。)
・マーキングが下着に色移りする場合があるので、安価な物や、色が濃いものを選ぶと良い。

乳がん用の下着を買う必要があるか

こちらについては、実際どちらでも日常生活に支障はないです。

ただ、手術直後~1か月ぐらいは乳がん用の下着があるととても便利です。

理由は3つあります。

・前開きのため、着脱がしやすい(術後に腕が痛くても負担が少ない)
・パッドの取り外しが可能
・締め付けがなく、傷に優しい

私は元々乳がん用の下着を買うつもりはなく、元々持っていた
綿のキャミソールでしのぐつもりでいました。
でも乳がんを経験したお義母さんから入院中に乳がん用の下着をプレゼントしていただき、
その下着を着用した時に着脱のしやすさに感動しました。

私は右乳房全摘、腋窩リンパ節郭清の手術を受けましたが、
術後1か月以上たった今も、術前のように腕が上げるように戻っていません。

その状態ですと、やはり上からかぶるように下着を着用するのは少し痛みを感じます。
乳がん用の下着は前開きになっているものがほとんどで、
着脱の際に腕を上げなくてもいいような仕様になっているので便利なのです。

また、私は術後1か月以上感覚障害もあり、
手術を受けた方の胸のパッドはしないようにしています。
乳がん用の下着はパッドの取り外しができるので、それも助かりました。

同じような下着なら、乳がん用ではなくてもいいのですが、
乳がん用になっているものは、乳がんの人の悩みに寄り添った仕様になっているので
結局は便利だと感じます。
私は抗がん剤用の帽子を購入した際もそう思いました。
その病気の人の目線に合わせて作られている商品はやはり使いやすいです。

おすすめの下着

totoka

私は下記のキャミソールタイプを毎日着用しています。
前開きの部分がマジックテープになっており、
ボタンよりもつけ外しが楽だと感じています。

全く締め付けがなく、パッドも取り外しができる作りになっていますので、
入院時に持参すれば手術直後から着用が可能です。

ちょっと値段が張るのが難点ですが、私は傷が落ち着いてからも
部屋着で使用しようと考えています。

前開きのところがマジックテープになっている商品は
結構珍しいと思うのでおすすめです。

肩紐が広いものをお探しの方にはタンクトップタイプもおすすめです。

パッドの選び方・種類

パッドも下着同様、傷の経過に合わせて選ぶ必要があります。
パッドの種類は下記の3種類です。

シリコン

下記のような特徴があり、術後1か月以降に使用が可能です。

特徴
・乳房に近い感触がある
重さがある
・通気性はない
・洗濯はできないので、カバーを付けると良い

ジェル

下記のような特徴があり、術後1か月以降に使用が可能です。

特徴
重さがある
・通気性はない
・洗濯はできないので、カバーを付けると良い

綿・ウレタン・スポンジ

下記のような特徴があり、術後1週間後から使用が可能です。

特徴
重さがない
・洗うことができる
・シリコンに比べると安価である

最も必要だと考えられるのはシリコンやジェルのように重さのあるものです。
理由は乳房の重さの左右差をなくすためには、重さがあるパッドが必要だからです。
重さがないものは見た目を補うことはできますが、
左右のバランスをとるためには不十分です。
私は実際に重さのあるパッドを使用せずに、腰を痛めてしまった方と会話をしたことがあり、
重さのあるパッドの大切さを強く感じました。

ただ、傷が治るまではシリコンのように皮膚に直接貼るタイプのものは使用できません。
傷が治るまでは、軽く、通気性が良いものを選ぶようにしましょう。

おすすめのパッド

KISS MY LIFE

シリコンパッドを選ぶポイントは下記の2点です。

自分に合った重さを選択する
・カバー付きのものを選ぶ

これは入院中に看護師さんに教えていただきました。
とくに高額なパッドを購入する際は、重さの失敗がないように注意してください。
また、シリコンパッドは洗濯ができないので、
カバー付きのものを選ぶとカバーを洗うだけで済むので便利です。
実際にシリコンパッドを使用している方とお話させてもらったことがありますが、
やはりみなさん、カバー付きのものを使用されていました。

私がおすすめするこちらのパッドは、受けた手術の内容によって
パッドの種類が選べますし、専用カバーが付いています。
専用カバーだけの販売がないのが少し残念ですが。

KISS MY LIFEさんは癌を経験した方がデザインしているせいか、
抗がん剤治療中の帽子もおしゃれなデザインのものが多いです。
私もいくつか使用していますが、その帽子の時は友人に褒めてもらえることも多くて嬉しいです。
今回は帽子の話ではないので紹介しませんが、
闘病中に少しでも気分が上がるものを身に着けるのはおすすめです♪

下着やパッドを手作りする

新しいものを購入するのではなく、手元にある下着をアレンジする方もいます。
一部例を下記に上げます。

・締め付けを少なくするために、ブラトップのゴムを切る。
・ブラジャーやブラトップにパッドを入れるためのポケットを作る。
・胸の谷間をカバーするために、下着の谷間部分に布やレースを縫い付ける。
・適当な長さに切ったストッキングに綿や保冷剤を入れてパッドを作る。

もしご自身で作りたい場合は、
“乳がん パッド 手作り”
とネットで検索すると色々出てくるので試してみてください。
自作する場合も、術後1か月以降に使用するパッドは
重さが出るように作成してください。

自治体から助成金が出る場合がある

乳がんの術後に必要な下着やパッド、人工乳房の購入には
自治体から助成金が下りる場合があります
私の住んでいるところでは、申請手続きをすれば
上限2万円までの助成金を受け取ることができる制度がありました。
お住いの自治体によって内容は異なりますので、お住いの自治体に問い合わせてください。

とくに医療用パッドはとても高額なものもあるので、助成金があると助かると思います。
医療用ウィッグでも同様に助成金が出る場合がありますので、
必要な場合は商品購入前に確認してください。
申請の際に領収書などが必要な場合があります。

温泉に入るときのカバーについて

乳房を切除すると温泉で人目が気になりますよね。
私もまだ貸切風呂以外の温泉に入る勇気は持てていません。

でもそんな人のために今は着用したまま入浴してもいいカバーがあるのをご存じですか?

私は病気になってから友人に教えてもらい、とても勇気づけられました。
よく温泉に行く人は知っている人が多いようです。

厚生労働省のHPにも術後の入浴用肌着について、理解を促す文面があります。

温泉施設でも注意をして見ると、入浴着の着用を認める張り紙や表示がある場合があります。
気になるようでしたらお店に問い合わせてみると教えてもらえるはずです。

入浴用のカバーは右胸用と左胸用に分かれているので
購入の際には注意してください。

さいごに

手術前の方も、術後の方も、みなさん、
ここまでの治療お疲れ様です。

術前の人は、今はまだ不安なことも多いかもしれませんが、
手術はあっという間に終わりますし、
術後も地道にリハビリをしていれば、徐々に体が戻ってくることを実感できます。

私もまだまだリハビリ中ですが、人や物、頼れるものには全て頼って
一緒に乗り越えましょう!

私は今後放射線治療も行う予定なので、肌の様子も含め、
着用する下着についてもまた何か情報があればお伝えします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。